1|はじめに


皆さんは、将来どのようなキャリアを築きたいと考えていますか。そのキャリアを築くために公認心理師資格は必須でしょうか。

公認心理師は、心の専門家として高い知識と技能を持つことを証明する国家資格です。しかし、公認心理師資格は業務独占資格ではなく、名称独占資格であるということには注意してください。これは、公認心理師資格がなくても、心理に関する相談や支援を行うこと自体は制限されないということを意味します(「公認心理師」という名称を用いて活動できるのは、資格取得をした者だけに限られます。)。

確かに、今後、公認心理師資格は重要性を増していくことも想定されます。医療機関で心理職として働く方にとっては、将来的には、公認心理師資格が必須となる可能性も高いと考えられます。一方で、福祉、教育、産業、司法といったその他の領域では、現状において公認心理師の資格が必須となる可能性は不透明です。司法領域では、心理職の多くは公務員であり、就職するためには公務員試験の受験・合格が必要です(受験資格に年齢制限がある可能性にも注意が必要です。)。また、将来的に個人で開業し、心理カウンセリングなどを行う場合、公認心理師資格の有無は問われません。

これらのことを踏まえ、あらためて皆さんに考えていただきたいのは、公認心理師の資格は、皆さんが本当に望むキャリアを実現するための手段として必要かということです。公認心理師の資格取得は、決して容易な道のりではありません。通信教育課程で学びながら資格取得を目指す皆さんは、仕事や家事など、多くの時間を費やす必要があるでしょう。だからこそ、資格取得は目標ではなく、あくまでも自身が進みたいキャリアに向かうための手段の1つでしかないということをしっかりと認識しておくことは重要です。

皆さんが目指すキャリア、そしてその実現のために公認心理師の資格が必要なのかどうかを熟慮した上で、今後の科目履修について考えてみてください。皆さんの未来が、希望に満ちたものであることを心より願っています。

2|公認心理師の資格取得をめざすにあたって


公認心理師とは

公認心理師は、2015年に成立した「公認心理師法」に基づく、心理職初の国家資格です。国家資格としての専門家養成の背景には、児童虐待、ひきこもり、職場や学校での不適応、発達障害への対応など、社会における心の問題の複雑化があります。公認心理師の職域は、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働と多岐にわたります。公認心理師には、心理的アセスメントや心理学的支援の知識・技術だけでなく、その職責や関連法規の理解も求められます。さらに、多職種と連携しながら、複雑化する心の問題に寄り添う業務を遂行することが期待されています。

公認心理師法に準拠したカリキュラムと履修上の留意点

社会環境を踏まえ、公認心理師法では、公認心理師が適切に業務を遂行できる能力を養成するため、教育方法、必要科目、時間数、指導者の要件や体制などを厳格に規定しています。本学の公認心理師カリキュラムも、これに基づいて履修条件や定員制限を設けています。そのため、これらの条件をよく理解した上で履修計画を立て、履修を進める必要があります。

公認心理師への道と卒業後のキャリア設計

公認心理師の資格取得を目指すにあたっては、本学卒業後のキャリアプランも含めて計画を立てることが重要です。まず、受験資格を得るには、本学で必要な科目を修得して卒業した後、原則として大学院に進学する必要があります。次に、公認心理師国家試験に合格しなければなりません。さらに、資格取得後も心理臨床の専門家としての責務を果たすため、継続的に研鑽を積み、専門性を維持・向上させる努力が求められます。一方で、公認心理師資格登録者数は既に7万人(2024年9月現在)を超えていますが、現状では資格登録者のうち、「常勤の心理職として雇用されている職場がある」者は25%程度との調査(一般財団法人 公認心理師試験研修センター「公認心理師活動状況等調査 報告書」)もあります。心理職に就くことの難しさも認識しておく必要があります。

公認心理師を目指すための学びの姿勢と責任

公認心理師は国家資格として位置づけられており、大きな責任を伴う職種です。これから公認心理師をめざす方も、この点を十分に理解する必要があります。公認心理師への道は厳しいことは事実ですが、本学の公認心理師カリキュラムで開講されている科目の単位修得を単なる資格取得の手段として捉えるべきではありません。本学で開講するどの科目も現代的意義を持ち、一つ一つの科目を深く理解しようと努める過程で多くの学びを得られます。このような学びの姿勢が、公認心理師としての活躍を目指すみなさんにとって有意義なものとなるはずです。

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3|公認心理師資格の取得方法


本学は、公認心理師国家試験受験資格取得に必要な科目のうち、学部段階の科目に対応しています。国家試験受験資格を得るには、本学卒業後に、次のいずれかの条件を満たす必要があります。

  1. 大学院において「大学院における必要な科目」10科目を修得して修了する
  2. 文部科学省および厚生労働省が認めた施設にて実務経験を2年以上積む

このうち、「2」に規定される「文部科学省および厚生労働省が認めた施設」は全国で9施設しかなく(2024年現在)、「2」のルートで受験資格を得ることは容易ではないと考えられます。したがって、公認心理師国家試験受験資格を取得するためには、本学にて必要な科目を修得した後、原則として大学院に進学する必要があると考えられます。

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公認心理師養成課程を持つ大学院や「文部科学省および厚生労働省が認めた施設」は以下の厚生労働省のページに記載されていますので、参考にしてください。

公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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4|本学カリキュラムの考え方


本学で開講する公認心理師科目25科目は、法令の趣旨等を踏まえて開講していますが、これに伴い、以下のとおり制限がありますので、注意してください。

最短でも3年間の学修期間が必要

段階的に学修し、適切に知識と技術を身につけるため、「心理演習」「心理実習」に履修条件を設定しています。これにより25科目すべてを修得するためには最短で3年間の学修期間が必要です。公認心理師科目を修得して卒業するには、早くから適切な履修計画を立てる必要があります。特に3年次編入学においては「留年」して必要な科目を修得する必要があることにも注意してください。

「心理演習」「心理実習」は定員30名

「心理演習」「心理実習」は、演習・実習科目という性質や法令で定める指導体制のあり方、実習施設に限りがあることなどを考慮し、定員を30名としています。定員を超える履修希望があった場合は、選考試験を実施します。これらの科目は、いずれも公認心理師として活躍することを希望する方を対象として開講する科目であり、公認心理師に求められる力を養成するために厳しい制限を課しています。

多様な現場で学ぶ「心理実習」

本学の心理実習では、多様な心理臨床の現場を直接肌で感じながら学ぶことができるよう、一部で参加型の実習を含みながら、最大4分野の領域の実習を行っています(2024年度現在)。心理実習は、後進の育成・指導に理解のある各施設の厚意により成り立っています。各施設は、支援を要する方々が必要な支援を受けるために利用する場所であり、利用者の利益の確保が何よりも守られるべきであることは、これから心理職をめざす者として決して忘れてはいけません。

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具体的な公認心理師対応科目は、 3)公認心理師受験資格に関する科目(大学における必要な科目) を確認してください。

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5|学部要件充足までの流れ


本学で学部要件の科目を修得して卒業するまでの流れは以下のとおりです。

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本学では、卒業要件を満たした場合、自動的に卒業となります。修業年限を超過して必要科目の修得をめざす場合は、すべての科目を修得する前に卒業することのないよう注意してください(法の規定により卒業後に科目等履修生として必要科目の単位を修得しても、学部要件としては認められません。)。

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6|履修モデル


公認心理師資格取得をめざす場合の履修モデルを公開しています。参考にしてください。

7|心理演習の履修に係る選考試験


「心理演習」の履修を希望する学生が定員(30名)を上回った場合は、選考試験を実施します。選考においては選考試験の点数のみを判断材料とします。選考試験の上位30名が「心理演習」を履修することができます。

1)概要

選考試験の実施内容は毎年度見直しを行っているため、変更されることがあります。このため、必ず自身で4月頃にechool campusに掲出されるインフォメーションを確認し、最新の情報を入手するようにしてください。なお、各年度の共通項は以下のとおりです。

2)受験資格

選考試験の受験資格は以下のとおりです。

  1. 当該年度後期に「心理演習」を、次年度に「心理実習」を履修する意志がある者
  2. 選考試験受験時点で「心理演習」の履修条件を満たす者

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2020年度以前入学者に対する特例措置


2020年度以前に入学された方は、入学時点で定員設定がされていなかったため、経過措置として、選考試験を受験することなく、心理演習の履修を許可します。

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3)出題内容

選考試験の出題範囲は、「心理演習」の履修条件に該当する公認心理師対応科目21科目に関する内容です。試験の性質上、出題内容の詳細な情報は公開していません(過去問等もありません。)。対象科目は、3)公認心理師受験資格に関する科目(大学における必要な科目) から確認してください。

4)スケジュール

選考試験に関するスケジュールは下表のとおりです。

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5)受験者数推移

選考試験における受験者数の推移は下表のとおりです。

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6)選考試験を不合格となった場合

選考試験に不合格となった場合、翌年度に再度、選考試験を受験することは可能です。不合格に伴い、当年度後期の履修計画に変更が生じる場合(履修する科目が極めて少ない等)は、通常の期間とは別に学籍異動申請を受け付けるため、休学等の手続をとることも可能です。

8|「心理演習」の履修にあたっての注意点


1)履修に関する手続き